『葉書でドナルド・エヴァンズに』 平出 隆

ドナルド・エヴァンズ—1945年、アメリカ・ニュージャジー州に生まれる。
1997年、31才のときオランダ・アムステルダム
友人のアパートメントの火事にまきこまれ、死亡。
あとに残されたのは、彼の描いた4千枚の切手。
エヴァンズは空想の国々の架空の切手ばかりを描いた画家だった。


エヴァンズの生まれた街、
画家を志して渡ったアムステルダム
彼が恋人と行くはずだった不思議な切手を発行する小さな島へ。
若くしてこの世を去った画家の通過した気圏、友人たちを訪ねる
奇妙な旅の途上からエヴァンズに宛てて発信された186通の葉書。


架空の切手の、
架空の国々への、
ほんとうの旅


作品社・平出隆「葉書でドナルド・エヴァンズに」/作品社k-branch

葉書でドナルド・エヴァンズに

葉書でドナルド・エヴァンズに

The World of Donald Evans

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関心空間 - The World of Donald Evans


切手で旅するヨーロッパ

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IT’S A STAMP WORLD!―切手に恋して

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切手帖とピンセット 1960年代グラフィック切手蒐集の愉しみ

切手帖とピンセット 1960年代グラフィック切手蒐集の愉しみ

その郵便局はぼくにとって、つねに神秘の殿堂とみえた。大時代で古びたー だがまだ機能は持っているそのメカニズムは、いまは使われていないが、つぎつぎとやってくる世代の人々によって、大事に世話をされてきたのだ。それは、ときとして、宛名も差出人の名前もきれいにきちんと書いてある手紙が行方不明になり、とどのつまり、どこへ行ってしまったのか、またその理由は何なのか、誰に訊いても、その郵便局員に訊いてもわからない− そんなことの起るところなのだ。

                               ジャック・フィニ「愛の手紙」

「愛の手紙」収録


墓石というメディア
「HELEN ELIZABETH WORLEY — 1861-1934. Under this were the words, I NEVER FORGOT.」という墓碑銘

「ここに収録される葉書は一九八五年から一九八八年にかけてドナルドに宛てて書かれ発信された百八十六通のうち,十余年をへた最近になって、いくつかの場所から散乱状態で、また部分的な欠損をともなって見つけ出されました。これらをできるかぎり復元し、再度日付の順番に並べ直したものが本書です。それでもおよそ四十通が欠落しました。発信者は、それら失われた葉書こそは、ドナルド・エヴァンズの世界に届いたもの、と信じたいようです。
                              ニ◯◯一年三月   平出隆

                        『葉書でドナルド・エヴァンズに』ノートより