妖精界の書物について

「到着後三日目に私は宮殿の図書館を見つけた。」


「妖精界の書物では、万事があるべきようであるのだ。それが言葉においてか、それとも他のなにかでなのか、私にも分からないが、書物は非常な力でもって魂の上に思念を燃え立たせ、閃かせるので、本という媒体が意識から消えてしまい、魂は事柄そのものとのみ関わるのであった。」


「もし詩巻であれば、言葉は消滅するか、音なき律動、隠れた韻律とともに起こっては消える一連の形姿と心象の伴奏という従属的な位置を占めるのだった。」


『ファンタステス 成年男女のための妖精物語』ジョージ・マクドナルド

「音なき律動、隠れた韻律とともに起こっては消える一連の形姿と心象」
なぜだか、デュシャン、コーネル、マラルメが思い起こされます。
とりあえず妖精と彼らを結びつけてくれるのが『妖精の距離』の滝口修造さんだということに思い当りました。

「音なき律動、隠れた韻律」の伴奏としての言葉。


ファンタステス―成年男女のための妖精物語 (ちくま文庫)

ファンタステス―成年男女のための妖精物語 (ちくま文庫)

「ファンタステス」とは擬人化された想像力のこと。

妖精の距離/瀧口修造 : 零画報

ジョージ・マクドナルドの部屋