『人間人形時代』 なぜ本に孔があいているのか。



“人間と人形”でもなく“人間的人形”でもなく、“人形的人間”でもなく、「人間人形」

「『人間人形時代』は3つの異質なカレイドスコープが組み合わさったような本にしたい」と、『人間人形時代』のブック・デザインについて(杉浦康平に)相談をしました。
 そのときだったのか、何度目かに訪ねたときだったのか、「松岡君は稲垣足穂をどう見てるの」と杉浦さんが聞いた。
 「1回1回“箱の中”を覗いているような感じがあるんです。レンズをきちんと用意しないと、2枚のレンズが逆になったり3枚目が来るたびに、向こうに結ばれる像が違って見える。飛行機,少年,宇宙論,仏教観…それぞれを覗くレンズを僕も、足穂さんも替えていて、それらが幾つも幾つも繋がった円筒のガラスの底を覗いているような感覚になります」と雑談的に話していたら、杉浦さんが「じゃあ、本に孔を空けようか」と(笑)。

Seigow 自著本談


人間人形時代

人間人形時代

東京自由大学2003年度講座 第5回 稲垣足穂(セイゴオ★チャンネル)