『◯年日記(連用日記)』のオリジナル? 『A Line A Day -Five Year Diary-』一日一行(5年日記)



VINTAGE 1939-1943 FIVE YEAR DIARY NEW ENGLAND LEATHER
 20ドル50セント(1,898円)で終了 cash


『◯年日記(連用日記)』って日本人の発明だとばかり思っていましたが、探してみたらAmazonで買えるものでも
『The 5 Year Journal』  『5 Year Diary』
『Journal 10+ 2010-2020』(米) 『Collins Five Year Lockable Diary』(英) 
と、いろいろあり、さらにeBayでこんな物を発見しました。


「A Line A Day 」という堂々としたタイトルからして(なんとなく)この米ボストンの Samuel Ward Company 社の製品が『◯年日記』のオリジナル・アイデアではないかと思われたので、いつ頃からあったのか調べてみると…


「Worth Tucker Diary(マークのおじいちゃんの日記 1903〜1907)」のおかげで、とりあえず1903年まで遡れた。と思ったら、その日記帳のコピーライト表示から1892年初版だということまでわかりました。


[Copyright page]
Copyrighted 1892 BY SAMUEL WARD COMPANY,BOSTON, MASS.


[Prefatory page]
PREFATORY(序文・解説)
YOU have neither the time nor the inclination,possibly, to keep a full diary. Suppose, however, out of the multitude of matters that crowd each day, you jot down in a line or two those most worthy of remembrance. Such a book will be of the greatest value in after years. What a record of events, incidents, joys, sorrows, successes,failures, things accomplished, things attempted.
This book is designed for just such a record. It can be commenced at any day of the year, and is so printed that it is good for any five years.
To illustrate how it should be used, suppose that it begun on January 1. Under that day, in the first space, add the proper figures for the year to the date as printed. On the next day, January 2,do likewise, and so on through the year. When the year is ended, begin again under January 1 for the second year, adding the appropriate figures in each of the second spaces, and so right through the remaining years.

「家族の歴史」オタク(自称)のマークは今年の元旦からおじいちゃんの日記をその日付どおりにブログで公開しはじめているんですが、それに先がけて大晦日に大公開された、その日記帳の説明とコピーライトのページに「Copyrighted 1892」という表示があったのです。律儀なマークに感謝。おじいちゃんに合掌。ちなみにおじいちゃんは1903年の元旦には鴨狩りにいって43羽をしとめ(4人でですけど)、家に帰って宴会。良い新年を迎えられたようです。


『◯年日記(連用日記)』のオリジナル・アイデアがこの『A Line A Day -Five Year Diary-』かどうか確定できたわけではないですが、1892年明治25年。日本初の西欧式日記帳とされている博文館の『懐中日記』発売が明治28年)ですから(ほぼ)元祖と考えていいのではないかと思います。『自己中心の文学—日記が語る明治・大正・昭和』(青木正美)によると日本でも、昭和初期にはすでに『三年連用蛍想誌行(けいそうしこう)』(東京五年間日記発行所刊!)というものが発行されていたようです。

さて、それはさておき、気になるのはマークのおじいちゃんの日記の公開方法です。せっかくの「5年日記」なのにマークは日付どおりに「1年(の1日)づつ」公開しているのです。「5年(の1日)づつ」みていったほうが面白いんじゃないかと思うんですが… (そういえば、そういう体裁の小説ってあるでしょうか?)


「一行なしに一日なし」プリニウス
「一行なしに一日なし だが数週間となるとどうだろう」ヴァルター・ベンヤミン一方通行路
                       (平出隆遊歩のグラフィスム』より)


さらにこんなものを発見。



World War II Diary 1940 Love Letters US Army cash
即決落札:1,000ドル0セント(91,240円)

5年日記ですが…。兵役が3年ですんだのでしょうか。

(後記)『百代の過客 日記に見る日本人』のドナルド・キーン氏によると、アメリカ軍では兵士が日記をつけることを機密保持のために禁じていたそうで、つまり、これは戦場での日記ではないということです。


ミドリ 日記 5年連用 洋風 12107001

ミドリ 日記 5年連用 洋風 12107001

日記 5年連用 "洋風"というタイトルが可愛らしく感じられる西暦二〇一〇年です。