「本の中に閉じ込められた妖精」のしわざにちがいない。

http://www.sublackwell.co.uk

「妹がシャボン玉のなかに妖精がいるっていうから、あたしもよーく見てみたんだけど、見えなくって。くやしくって、じゃぁ、つかまえてあげるわよって、庭のいすにおいてあったおじいちゃんの本でシャボン玉をパチンってしたの。妹は泣いちゃったけど、べつに妖精の押し花みたいのはできなかったわよ。でも、次の朝、本がこんなふうになってたの。」(『本の中に閉じ込められた妖精』ローズ・セラヴィ)


妖精の中には、本の中が気に入ってそこを住処にするものもいる…(紙は植物からできているわけで居心地は悪くないはず。でも印刷インクがちょっと…)
棲みつかれた本のなか(のお話・言葉・文字たち)は、たいへんな目にあうことになるのでしょう。
まず「お話し」に介入して、文章を混乱させる。つぎに居場所のよく分からなくなってきた「言葉」たちで遊ぶ。そしてバラバラになった「文字」をホーキで掃き出す。(日本語だとバラバラな文字になっても漢字には意味があるか…。へんとつくりに分けて…、いや気に入った文字は棚にしまって、あとはやっぱりホーキで掃き出す。)
「いたずら者の妖精が本の中に閉じ込められている」という設定だと、逆に「文字によって」閉じ込められているのかもしれない。
「ここから出してほしい」と読者に訴えかける本。「1000回ページが開かれたら本から抜け出せるのよ」
妖精がジタバタすると(ページをパラパラすると)文字組が揺れる。
「小口絵」の手法で「ここから出して」の文字が浮かび上がる。
「月に連れてってあげる」だとか、「地底で宝石がどんなふうに出来ていくか見せてあげる」とか誘惑する。でも、なんで閉じ込められているのか、その理由にはふれないので、ちょっとコワい。




「これは?」
「それは芸術家のしわざなんじゃない? いや、シロアリかな。」

http://www.offbeatearth.com/dont-like-reading-other-uses-for-books/
妖精や芸術家、魔法使いのしわざが満載されてるページ


ぼく見ちゃったんだ!―インクヴァンパイア〈1〉 (インクヴァンパイア (1))

ぼく見ちゃったんだ!―インクヴァンパイア〈1〉 (インクヴァンパイア (1))

「男はストローを取り出すと本にさしこみ、ちゅるちゅる吸いはじめた。おどろいて叫んだぼくに気づいて逃げたヤツのあとには、文字が消えて真っ白になった本が残されていた。」だって。
「その男って、芸術家?」
 いや、芸術家はそんなことしないと思う。たぶん。でも、参考に読んでみようか。